人生のうち、食事の回数はおよそ8万回といわれています。
〝あの時食べたアレは美味かった〟
〝あの店の味をもう一度食べたい〟
人の記憶は五感と共に強く刻まれます。
誰にでもこれまでの食事で忘れられない一皿があるはずです。
あなたなら最後の晩餐に何を食べますか。
このコーナーでは食のプロである料理人は最後の晩餐に何を食べたいのかをお聞きします。
3回目は、兵庫県加東市にある鯉料理・うどん「鯉清水」オーナー竹本 京市氏にお話をお伺いしました。
人生の集大成の料理-鯉料理とは-
国の古い薬物書に「鯉の肉の味は甘味があり、せき込んで苦しい状態や肝臓を治し、
口の渇き病(糖尿病など)の口渇を止め、
水腫脚病(足に水がたまって腫れている状態)や肝臓病を治し、
気を下す(気分を落ち着かせる)」とあるように、
鯉は優れた薬用魚であり、良質の栄養食品です。
しかし昨今、店も、食べる機会も少なくなり、
特に関西では珍しいものになってしまいました。
竹本氏はこの「鯉料理」を最後の晩餐に食べたい。そう熱く語ります。
魚屋を始めた30年ほど前。当時は天然物が良しとされ、養殖物のサーモンなどは見向きもされませんでした。ところが10年ほど前から回転ずしの影響もあり、養殖物が主流となっていきました。
殆どが養殖となり、魚屋として自信を持ってお勧めできる魚がなくなってしまった。
何かこれに代わる健康食品、年寄りや女性にも喜ばれるものはないかと考えた時、
中国の文献で、成人病に聞く、万病に効く薬とされる「鯉」に辿り着きました。
そんな時、九州で食した鯉のあまりの美味しさと、ふぐの薄造りのように並べられた美しさに魅了された。
そして20年ほど前にお客さんからもらった江戸時代の大皿に鯉をのせて商売をしてみたいという思いが湧いてきた。
それをきっかけに江戸時代、幕末の骨董品を集め始めた。
そして十年前、江戸時代の古民家に出会い、紆余曲折ありながら今春、想いのつまった「鯉清水」をオープン。
江戸時代の古民家で、江戸時代の大皿で鯉料理を出すという夢を叶えた。
自信をもって出している料理なので、それを最後にもう一度自分のために作って食べたいと話す。
お客さんの顔をみてからさばく、「さばきたて」をモットーとしている鯉清水。
山の水で、泥吐きを完璧にした、まったく臭みの無い自慢の「鯉料理」をぜひご賞味あれ。
店舗名 | 鯉清水 |
住所 | 兵庫県加東市平木579 |
営業時間 | 【LUNCH TIME】11:00~14:30(L.O.14:00) 【DINNER TIME】17:30~22:30(L.O22:00) ※金曜日、土曜日のみ 17:30~24:00(L.O. 23:30) |
お電話番号 | 0795-45-1151 店舗携帯080-4391-1151 |
公式HP | https://www.kyoya1151.com/ |