当主みずから醸す酒、人生を醸す【清酒 千鳥正宗 醸造元岡村酒造場】【三田市木器】

三田市唯一の酒造場「岡村酒造場」

 

176号線、三田駅北側より、北に数km車を走らせ山道を抜けると景色は一変します。
ところは三田市木器(こうづき)。開けた視界には田園風景が広がります。

今日は三田市木器にある三田唯一の酒造場
「岡村酒造場」様を取材させていただきました。

 

創業は明治22年
130年近く酒造りをされている老舗酒造場です。

岡村酒造場外観

みて下さい!この茅葺の屋根。

外観をみただけでとても趣があり長い歴史を感じます。

それもそのはず、江戸末期に建てられた岡村酒造場の建物は兵庫県の景観形成重要建造物に指定されております。
茅葺き屋根の主屋をはじめ、その景観は、周囲の農地や背景の山並みともよく調和し、地域のシンボルとなっています。

 

 

それでは門をくぐってみましょう。

あちらこちらに歴史を感じさせる物が多くあります。古い道具や新しく改装された箇所。時代は違えどずっとここにある物もの。こういった空間は少し厳かな気持ちになります。
いろんな想像が膨らませながらお話をお聞きしました。

現在、酒造場内は一般公開は行っておりませんのでご注意ください。

 

 

酒造場内に飾られた書の中に千鳥正宗について興味深い一説がありました。


三田の米を用いて醸造した「牡丹正宗」を、あの福沢諭吉が絶賛したそうです。
そこから「まぼろしの銘酒”牡丹正宗”」を岡村酒造さんが復活させようと取り組んで生まれたのが”千鳥正宗”だそうです。

 

それでは三田のお酒「千鳥正宗」について詳しくお聞きしましょう。

この町のお酒、千鳥正宗について

kizuqスタッフ
こんにちわ。お忙しい中ありがとうございます。今日はよろしくお願い致します。早速ですが千鳥正宗の名前の由来について教えて頂きたいです。
杜氏岡村さん
大正時代までは「山草正宗」という名前でした。昭和始めに審査を受けいい酒と認定して頂いた時に”千鳥”という名前を頂き「千鳥正宗」と改名しました。千鳥の意味は千鳥足からきています。
kizuqスタッフ
お酒に酔った人が左右によろめいて歩く様の千鳥足からきてるんですね。
千鳥正宗の味はどのような特徴なんですか?
杜氏岡村さん
三田のお米と羽束川の
伏流水を使用しており、味わい深くコクがあります。また千鳥正宗といっても数種類あります。

詳しくは以下画像(岡村酒造場さんのサイトへリンク)

kizuqスタッフ
三福田、羽束山、三田壱、、、飲み比べをしてみたいですね。
次に酒造りの1年の流れを教えて下さい。
杜氏岡村さん
今は準備段階の時期。11月初めに最初のお米洗いをし、12月初めに新酒が完成。この時を「搾りたて」と言います。12月は販売の時期。できるだけたくさんのお客様に買ってもらえるよう精を出します。1月~2月はお酒をきれいに精製して貯蔵します。3月からはお米作りが始まります。4~5月に田植えをし、9月に稲刈りをします。それが終わると酒造りが始まります。お酒が1番おいしくなる時期は暑い夏を過ぎた9月~10月で去年造ったお酒に味がのってきてまろやかなものになっていきます。
kizuqスタッフ
ちょうど今くらいが新酒と熟成された酒の両方が楽しめる時期なんですね。
webサイトを拝見しまして ”うめぇ~さんだ” という商品が気になったのですが。
杜氏岡村さん
うめぇ~さんだは日本酒をベースに梅を加えて1週間くらい熟成し蒸留したお酒です。梅の香りが蒸留してうつっていき、アルコールと香りはとぶけれど味はとばないんです。なので梅酒のような味・香りはないんです。うめぇ~さんだは”スピリッツ”というカテゴリーに入ります。スピリッツの有名どころではジン。日本酒がベースになっているから飲みやすくストレートで飲むのが一番おススメです。次にお湯割り・水割りもおススメですよ。でもレモン割は梅の香りが飛んでいくからおすすめしません。
kizuqスタッフ
おすすめの飲み方で是非飲んでみたいです。岡村酒造場様のお酒はどこで購入することができるのですか?
杜氏岡村さん
市内中心に卸しています。市内では、イオン、パスカル三田でお買い求め頂けます。もちろん直売もしています。木器は、ニュータウンとは違った風景を味わうことができるので阪神間よりドライブがてら買いに来てくださるお客様がいたり、何年もリピートして下さるお客様もいます。お酒は毎年味が変わるんです。似たような味だけど微妙に味が違うんです。暑かったり寒かったりと気候に原料が影響されるため味が変わるんです。でも微妙に違う味を楽しんでほしいと私は思っています。
kizuqスタッフ
自然もお酒造りの要素の一つなんですね。気候の変化からくる微妙な味の違いを楽しむなんて通ですね。それほど愛されるのは千鳥正宗が魅力的なお酒である証拠だと思います。
今日はお忙しい中対応頂きありがとうございました。

 

次に古代室を案内して頂きました。


※室内は許可を得て撮影しております。
 コンテンツ保護のため作品にはぼかしをかけております。

古代室とは?

出典:千鳥正宗 – 岡村酒造場 古代室

なんとこの建物岡村さんの手作りなんです!!
室内のテーブルやイスもすべて岡村さん作だとか・・・
古代室ではコーヒーがいただけるそうです。12月上旬には赤米の甘酒も。
温かい飲み物を片手に囲炉裏でたわいもないことを話していると、どこかに忘れてしまったものを取り戻せそうな気がする。
こういう経験は忙しない現代だと心をニュートラルに戻してくれるようで、私はすごく好きです。
是非是非お忘れなく立ち寄ってあなたの目でみてほしいです。

古代室は一般公開されておりますが室内には作家さんの作品が並べられているため写真撮影は禁止となっております。

 

 

さいごに

今回取材をとても丁寧・親切に対応して頂きました。
お酒について無知な私たちにわかるようにとても丁寧に。

「三田に良き酒あり」と言われるほど、三田には米作りに適した土地があり
最盛期では14軒もの造り酒屋があったといいます。
しかし、時は流れ現代では岡村酒造場様の一軒となりました。
お酒造りをされている方が減少していく中
当主が自ら米を磨き、真心を込めて醸す酒は
まさに長い歴史と自然の恵みが溶け合った伝統の味。

こんなお話を聞かせていただくと一度は味わってみたい。
お気に入りのお酒もいいが、少し背伸びをして日本酒なんてのもいい。

そのお酒に隠された人達の人生をまるまると味わってみたい、そう思う取材でした。

今宵も一献、いかがでしょうか?

 

それから
お店の前のこの杉玉が緑色に変わると新酒が販売されている合図だそうです。
もうすぐその時期が来ます。とっても楽しみです。

from kizuq

Infomation
店舗名清酒「千鳥正宗」醸造元 岡村酒造場
住所兵庫県三田市木器340
営業時間8:30~19:00 定休日:月曜日 ※12月は無休 
お電話番号079-569-0004
公式HP http://www.eonet.ne.jp/~okamura-sake/